さて、桜の開花記録にも負けず劣らず、国会でも、平成22年度の予算案が、戦後5番目の早さで成立しました。審議の中で、野党からの温かい質問はほとんどありませんでしたが、法案修正も含め、審議、採決の日程調整では概ね協力をいただき、子ども手当法案、公立高校無償化法案を始めとした予算関連の法案も、無事、可決・成立させることができました。
決して、バラマキでも、バラ色でもありませんが、「コンクリートから人へ」の理念に基づき、家計や子育てに光をあてた、サクラ色ぐらいの予算になったのではないでしょうか。
主な施策は以下の通りです。
状 況 |
項 目 |
概 要 |
2010年
4月 |
自動車重量税の引下げ |
○ |
自動車購入時・車検時の自動車重量税を軽減。 |
※ |
環境対応車=2500円/0.5トン(本則税率)、通常ガソリン車=5000円/0.5トン、18年以上経年車=6300円/0.5トン(従来の暫定税率分)。 |
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公立高校の実質無償化 |
○ |
公立高校=授業料徴収なし。 |
○ |
私立高校=原則年11万8800円を補助(所得に応じて最大23万7600万円)。 |
※ |
私立高校は、差し引き後の授業料を納付。 |
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農家の戸別所得補償 |
○ |
コメ農家を中心に、生産コストと販売価格の差額を直接補てん(社会実験)。 |
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雇用保険の範囲・料率 |
○ |
適用範囲を6カ月以上から31日以上へ拡充。 |
※ |
週労働時間数が20時間以上の場合のみ適用。 |
○ |
失業給付の雇用保険料率を暫定の0.8%から1.2%へ戻す。 |
※ |
原則料率は、1.6%。 |
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6月 |
子ども手当 |
○ |
6月から、中学卒業までの子ども1人当たり月額1万3000円分を支給。※支給月=6月、10月、2月 |
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高速道路無料化 |
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10月 |
たばこ税率引上げ |
○ |
1本当たり3.5円(メーカー値上げ分を含めて5.0円)引上げ、1箱100円程度の値上げとなる。 |
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2011年
1月 |
所得税の扶養控除見直し |
○ |
扶養控除(15歳以下)の廃止、特定扶養控除(16〜18歳)の縮小。 |
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※尚、国民年金保険料(4月)と厚生年金保険料(10月)がそれぞれ引き上げられるが、これは、自公政権が2004年に強行採決した法律の規定(2017年度まで段階的に引上げ)によるもの。
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予算審議を通して、野党の質問や一部の報道で、「マニフェスト違反」が声高に叫ばれ、違反の印象だけが先行していますが、暫定税率の廃止が1年目(平成22年度)から実施できなかったこと以外は、基本的に違反と呼ばれる筋合いのものはありません。
とはいえ、これからの民主党政権が国民から確かな信頼を得るためにも、さらには、7月の参議院選挙で勝利するためにも、今はまず、昨年の衆議院選挙で掲げたマニフェストを、行程表に沿って、できるだけ着実かつ忠実に実行に移すことが一番重要なことだと、私は思います。
一方で、初めての予算編成で、大幅な税収減、子ども手当の外国人給付に例えられる制度上の疑問点等、新たな課題も見えてきました。現実と照らし合わせて、一部、マニフェストの変更・修正をしていく柔軟性も当然必要となります。
すでに、本年7月の参議院選挙に向けて、マニフェスト作りも本格化してきました。具体的には、(1)国民生活研究会、(2)成長・地域戦略研究会、(3)地域主権・規制改革研究会の3つの研究会をベースに、各委員会の議員政策研究会(前号の漫筆その八十で紹介した「質問研究会」の発展版)からの提言等もふまえ、党としての案をとりまとめていきます。
そして、それを基に、「マニフェスト企画委員会」で政府側代表と党側代表が協働して、最終案を詰めていくことになります。
いけぐち修次も、予算成立から息つく暇もなく、政治主導確立法案、国会審議活性化法案、国家公務員法改正案、労働者派遣法改正案等々、「後半国会」での重要法案成立に向けて、国会運営に奔走していきます。皆様のご支援が何よりの励みです!
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