さて、国会開会中の永田町では、次々に提出される法案の国会審議に加え、マニフェスト策定に係る会議が毎日のように開催され、慌ただしい毎日が続いています。そうした中、民主党の真骨頂である事業仕分けの第2弾も始まりました。
今回は、すっかり有名になったその事業仕分けに目を向けてみたいと思います。
昨年の11月、ムダと思われる予算にずばずばと切り込む仕分け人の姿が、毎日のようにTVで報道されていたのは、記憶に新しいところです。その結果、約420事業について、予算の削減と国庫返納等による財源確保で、約1.7兆円の財源を捻出しました。
今回の第2弾では、5月末ごろまでを目途に、民主党が長年指摘し続けてきた、独立行政法人と一部の公益法人の仕分けをしていきます。そして、6月には独立行政法人のあり方そのものについて、一定の結論をだすこととしています。
今回の事業仕分けについては、マスコミ等を中心に、すでに、「パフォーマンスは見飽きた」、「マンネリ化して以前ほどインパクトがない」などの批判が散見されますが、事業仕分けの本来の意義を、ほとんど理解していないことがよく分かります。
以下、勝手ながら、今回の事業仕分けの意義を整理してみました。少なくとも4点が挙げられると思います。
第一に、事業仕分けの本来の狙いの1つは、単なる予算のムダ削減ではなく、行政の効率化・明確化にあります。削減の規模が重要なのではなく、何故、その事業が必要で、どういった効果があるのかを明らかにすることが重要なのだと思います。
第一弾の事業仕分けで、スパコン事業について「2位じゃだめなんですか?」と言った蓮舫議員の言葉が、繰り返し報道され、科学技術政策を分かっていないと批判の的となりました。しかしあの質問の趣旨は、「自信を持って、しっかりと具体的に事業の意義を説明してほしい」というものでした。毎回、あえて厳しく問い詰めるのも、最初から予算の削減が目当てなのではなく、事業の目的や効果を明確にし、その上で廃止、削減、継続等を判断できるようにするためなのだといえます。
第二に、独立行政法人や公益法人の見直しは、天下り問題や補助金垂れ流しの解消に直結するということです。政権交代後、新たな天下りはさせないこととしましたが、その受け皿が存在する限り、あらゆるルートを使って実質的な天下りは続き、年間何兆円もの不透明な補助金が流れ続ける可能性は残ります。
ムダの根源を断ち切らなければ、抜本的な改善は難しいということです。
第三に、事業仕分けをできるだけオープンな形でやることで、どういった事業がされているかを国民が知る機会を作ることができます。今回、無報酬、全日程のライブ動画配信、撮影機材・スタッフの自前手配等の条件ながらも、複数の事業者に事業仕分けの中継の協力をいただきました。
一部マスコミには少々退屈なようですが、本来、事業仕分けは坦々と行われるものです。それでも、是非観たいという方は沢山おり、国民が、生中継で行政改革のプロセスを見守ることができるということは、行政の透明化のために、とても重要なことだと思います。
第四に、仮に、仕分けによる予算の削減が、思ったほどでなかったとしても、何十年もの間不透明だった国の事業を明らかにし、できる限りの効率化を実現しなければ、消費税の引上げなど、国民に負担増を求める政策を提案することはできません。民主党がしつこいほど強調してきたように、財政健全化の優先順位として、まずは、無駄を徹底的に洗い直し、その全貌を明らかにすることが不可欠だということです。
個人的には、可能な限り、恒常的に事業仕分けを続けるべきだと思います。国民の視点に立った政治の大改革には、まさに「行政刷新」が必要で、それだけでも、政権交代の意義は十分にあったと評価していただける、とさえ思います。
ある意味では、地味で、馬鹿正直な事業仕分け作業ですが、こうした、ひたむきかつ着実な作業こそが、国民が望む本来の政治の姿だと思うのは私だけでしょうか?
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