漫筆(まんぴつ)とは、その時どきの気分次第で、とりとめのないことを気楽に書いた文章を言います。
Re:忘れられている「納税者の視点」 〜暫定税率の本質議論を!〜
年明けからの厳寒が身にしみる毎日が依然として続くなか、アジアでの新型インフルエンザの猛威が、さらに肩身を狭くさせます。今年はラニーニャ現象によって、世界全体で比較的気温の低い1年になるとの予想もでており、暖冬が続いた近年に比べると、妙に寒く感じる日が多くなるかもしれません。病は気からといいますが、平年より1枚多めの服装で身体本体にも気を配りましょう。
さて、史上3番目の長さとなった昨年からの臨時国会が終わり、その後まもなくして、1月18日から第169回通常国会が始まりました。今通常国会も序盤戦から荒れ模様。政府与党は道路特定財源の暫定税率維持に躍起になり、国会審議を無視した「つなぎ法案」なるものまで提出しました。
結果的には両院議長の仲介により、つなぎ法案はひとまず取り下げとなりましたが、そうまでして過重な国民負担を維持しようとする政府与党の狙いは何なのか?逆に、民主党は何故、暫定税率の廃止を主張するのか?地方の道路整備はどうなるのか?今回はそのあたりについて、論点整理をしてみたいと思います。
道路特定財源と自動車関係諸税については、漫筆永田町「その四十六」と「その四十八」でもその経緯、基本的な中身をご紹介しました。そして、中でも納税者の視点が最も重要であることを指摘しました。
民主党の主張は、まさにその納税者、ひいては国民全体の利益を考えた立場に基づいています。民主党の基本理念は、(1)昭和29年に始まった、道路だけに使おうという特定財源制度は廃止し、主に地方を中心に、道路を含めてより柔軟にお金を使えるようにする(国・地方の道路特定財源をすべて廃止し、一般財源化)、(2)従って、昭和49年から道路整備のために通常より多く税をとってきた暫定税率は廃止、(3)地方の財源不足に配慮して、地方の税収は従来水準を確保する、の3点に集約されます。
つまり、道路だけが第一優先という時代は終わったので一般財源化するが、自動車ユーザーはあくまで「道路整備」のために「暫定的に」多く税を払っていたわけで、一般財源化と共に当然暫定税率は廃止。とはいえ、地方ではまだまだ道路が必要な地域が多く、元々の財政も厳しいので、暫定税率廃止による地方の減収分は国が補償すると同時に、道路以外にも自由にお金を使えるようにするということです。財源補償についても、具体的な対応策も含め、一貫した説明をしています。
それにひきかえ政府与党は、あくまで税金を使う立場で、道路特定財源維持、暫定税率維持の一本槍と化しています。彼らの主張はあまりにもざっぱくで、道路特定財源を廃止し、暫定税率を廃止したら道路整備はできない、という脅迫観念の押し付けと現体制のごり押しにすぎません。地方の道路整備費を確保するには、具体的にどういう方法でできるのか?国の道路整備を無駄なくすすめるためにはどうすればいいのか?そういった本質的な議論はなおざりにしたまま、民主党の政策はハナから不可能と決めつけにかかっています。
残念なのは、マスコミまでもが、社説等で政府寄りの報道をしていることです。ある新聞は、負担維持と道路整備最優先の福田政権を持ち上げ、またある新聞は、小泉元首相を引き合いに、暫定税率を維持したままの一般財源化こそが改革である、という固定概念から抜けられずにいます。
ここでの問題は、納税者の視点が抜け落ちていることです。「暫定税率」は、最初に法律ができた時の本来の税率ではないということを再認識すべきであり、税率維持を前提とした税を使う側(行政)の立場だけで、議論がされるべきではありません。民主党が提示したのは、税を払う側(納税者)の立場での政策です。従って、一般財源化と暫定税率の廃止をセットで議論しなければ意味がないということになります。
民主党の政策が、すべての面において完璧などというつもりはありませんが、納税者・国民の立場での主張としては、十分筋が通っていると思います。せめてこれからは、国会審議やマスコミ報道を通して、(1)暫定税率は本当に維持すべきなのか、(2)道路は一般財源で無駄なく造れないのか、(3)真の地方分権・活性化には何が一番効果的かについて、大いに議論が巻き起こされることを期待したいものです。
いけぐち修次は、1期目を当選したときから一貫して、納税者に対する不条理で過重な負担の軽減を訴えてきました。この機会を逃さず、思いを実現させるため、さらに粘り強く国会で主張してまいります。パワーの源泉である皆様のご支援を、ひきつづきよろしくお願い致します。
(政策担当…長谷)
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