漫筆(まんぴつ)とは、その時どきの気分次第で、とりとめのないことを気楽に書いた文章を言います。
忘れられている「納税者の視点」
来年度の予算編成の論議が本格化するなか「道路特定財源の一般財源化」が、いよいよ焦点になってきました。
道路特定財源の一般財源化とは、簡単に言えば「道路整備をする目的で集めた税金を、何にでも使えるようにする」ということです。
この方針は、もともと小泉前首相が公約にかかげたのですが、自動車ユーザーを中心に強い反対を受け、安倍政権に引き継がれたものです。道路を整備するため、という理由で、道路を使う自動車ユーザーから徴税しておきながら、それを他の目的に使うのは「約束違反」といわれるのは当然のことです。
ところが、最近、マスコミなどの一部に「一般財源化すべき」という意見があり、気にせずにはいられません。その論調は「財政が厳しいのだからしかたがない」という内容です。
しかし、国の財政が苦しくなったのは、自動車ユーザーの責任ではありません。もちろん、財政再建がわが国の重要課題であることは否定しませんが、誰が負担すべきかの議論なしに自動車ユーザーから集めた税金をあてがうというのは、どう考えても納得がいきません。しかも現在、日本の自動車関係の税金は全体で9兆円と、諸外国に比べて大変に高い税率が課せられています。これは、過去に「道路を整備するためのお金が足りないから」という理由で、本来の税率より2倍も高い「暫定税率」が設定されているためです。その結果、自動車の取得・保有にかかわる税金は、イギリスの2.2倍、ドイツの3.9倍という重い負担になっているのです。
したがって「もう道路のためにお金は使わない」というのであれば、まずは暫定税率を廃止して、本則税率に戻すのがスジであり、道路のためと言って高税率を課したままで、一般財源化するというのでは暴挙と言わざるを得ません。
このように「財政再建のための一般財源化」の主張に欠けているのは、納税者の視点です。政府与党の姿勢は「取りやすいところから取る」という、サラリーマンに対する負担の押し付けと同じ構図です。
いけぐち修次は、これまで国会で「自動車関係諸税の簡素・軽減化」を一貫して訴えてきました。
暫定税率を課したままでの一般財源化は、到底、納税者の理解は得られず、絶対反対です。全国の自動車ユーザーから寄せられた900万の反対署名が、それを強く物語っています。
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